鴨川に寄せて

論理性などありはしない 自分を解くのみ

10月31日 匂い

人には匂いがある。

 

ちょっと下世話な話をすると、好ましい匂いがする人とは体の相性がいいらしい。本当かどうかわからないけれど、遺伝子が似ている人より似ていない人の方がいい匂いがするそうだ。

 

人の匂いを言語化するのは大変難しい。私の少ない語彙を絞り出して言い表すならば、恋人は、清潔な匂いがする。私は恋人の匂いを感じると、瞼が重たくなる。いわゆる安心する匂いというべきだろうか。情欲を掻きたてられるような、頭がクラクラする匂いではない。心地よく、素直な匂いだ。

 

自分の本名に少々関係あることもあるのか、私は匂いに比較的敏感だと思う。花粉症で鼻が詰まるときはまともに働かないので悲しいが、周囲が気づかないような匂いをふと感じたりする。

 

抱きしめられるのが好きだ。肩に顔を埋めたら、あの匂いがする。それに包まれていると、私は何故だか多くのことから赦された気持ちになる。