11月12日 北川恵海「ちょっと今から仕事やめてくる」

 

ダメになったら逃げようね

11月9日 江國香織「東京タワー」

江國香織の「東京タワー」を読んだ。

東京タワー (新潮文庫)

東京タワー (新潮文庫)

 

 

はっきり言って、あまり面白いと思えなかったし、共感もできなかった。自分が健康的な大学生らしい生活を送れなかったせいか、登場人物たちが遠い異国にいるかのように思える。終わり方も腑に落ちない。読み終わった後、ぶつ切られるように物語から締め出されたような気持ちになった。前日は辻村深月「ツナグ」の感想で描きすぎた、みたいなことを書いたけど、こっちは書くべきところが書かれてないように思えて仕方がない。自分がわがままなのかもしれないが。

 

自分の感性が曇っているのかもしれないが、タイトルにある「東京タワー」が内容とうまく絡まっていないように思える。確かに東京で繰り広げられた物語であり、途中で何度か言及がされていたが。この物語でなぜこのタイトルがつくのかあまりよく分からなかった。タイトルに違和感を覚えるのはある意味新鮮な感覚ではある。

 

もしかすると、この本は二人の主人公が惑わされた二人の女くらいの歳になれば良さがわかるのかもしれない。22歳の乏しい人生経験では飲み込めない難解な話だ。江國さんの描く恋愛は難しい。

11月7日 辻村深月「ツナグ」

辻村深月の「ツナグ」を読んだ。

 

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

 

 

辻村作品は「凍りのくじら」を数年前に読んだきりだから、2作品目になる。この「ツナグ」という作品は私が高校生の時に注目されていたのだけれど、なぜかこの歳になるまで読まなかった。イキリ高校生特有の、流行り物には懐疑的な目を向けていた…なんてことはなく、ただなんとなくだと思う。私の苦手な先輩がオススメしていたからかもしれない、なんていうことは多分ないと信じたい。

 

確かに面白かった。もう既にされているのかもしれないが、映像化に向いた作品だなぁとぼんやり考えた。突如姿を消した婚約者と会う「待ち人の心得」はなかなかじんときた。けれど一番好きなのは「親友の心得」だった。この物語の設定から、死者に会って生前言えなかったことや果たせなかった約束を果たす、というスッキリした読了感が期待されていると思う。実際この「親友の心得」以外の幕はそんな感じだ。だが、これだけは非常に後味が悪くて最高だった。この幕の依頼人は許されたい、助かりたいと思って死者である親友に会うも、その親友にこの先何をしても癒えない傷を負わされる。たった一つの選択を間違えることで人との繋がりは取り返しのつかないことになる、そんな当たり前のことを突きつけられた気持ちだった。これは生きているものの間も当たり前のことで、死者を相手にしたらもう二度とやり直しをすることができない。身につまされる話だった。

 

最後の「使者の心得」は正直蛇足感があってないほうがいいな〜と思ってしまった。答え合わせできるのは爽快感があるけれども。

 

11月2日 ブックオフ

ブックオフが好きだ。100円コーナーで気になっている作家の本を探す。疲れたらブックオフへ、傷ついた心を癒すためにブックオフへ。どんな本に出会えるか、いつも心が躍る。

11月1日 江國香織「つめたいよるに」

江國香織の「つめたいよるに」という短編集を読んだ。

つめたいよるに (新潮文庫)

つめたいよるに (新潮文庫)

 

 

最初のお話「デューク」は国語の教科書にも載っていて、知ってる人も多いと思う。私もこの「デューク」がとっても好きで、印象に残っていた。

 

私は読書の感想を書くという作業が苦手で(というより、読んだものに感動したり失望したりするが、それを言語化できない)、大それたことは言えないが、非常に難しい短編集だったように思う。これも魅力の一つなのかもしれないが、この作品は読み終えた時の爽快感が少ない。一つ読むたびどうしよう、と一息つくことになった。面白いような、怖いような。幽霊や生まれ変わり、と言った現実から離れたものが多かったからだろうか。しかし、怪異譚のように瞬間的にゾッとするものではなく、じわりと体温が下がっていくような感覚がする。作品全体から死の匂いがして、けれど死を肯定するような、そんな不思議な作品だった。

10月31日 匂い

人には匂いがある。

 

ちょっと下世話な話をすると、好ましい匂いがする人とは体の相性がいいらしい。本当かどうかわからないけれど、遺伝子が似ている人より似ていない人の方がいい匂いがするそうだ。

 

人の匂いを言語化するのは大変難しい。私の少ない語彙を絞り出して言い表すならば、恋人は、清潔な匂いがする。私は恋人の匂いを感じると、瞼が重たくなる。いわゆる安心する匂いというべきだろうか。情欲を掻きたてられるような、頭がクラクラする匂いではない。心地よく、素直な匂いだ。

 

自分の本名に少々関係あることもあるのか、私は匂いに比較的敏感だと思う。花粉症で鼻が詰まるときはまともに働かないので悲しいが、周囲が気づかないような匂いをふと感じたりする。

 

抱きしめられるのが好きだ。肩に顔を埋めたら、あの匂いがする。それに包まれていると、私は何故だか多くのことから赦された気持ちになる。